50代は曲がり角! もう一度見直したい「お口」の手入れ
50代になるとお口の状態も変化して、歯周病などが起こりやすくなるといわれています。いったいどうしてなのでしょうか。今回は50代のお口の状態について、歯学博士の照山裕子先生にお聞きしました。
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唾液が減りはじめる年代。歯周病に注意が必要
「人生100年時代。人類に経験のないことなので、自分の歯を100歳まで使うためには、今まで以上に論理的なケアをしていくことが大事です」というのは、歯学博士の照山裕子先生。
論理的なケアとは、変化する口の状態に合わせて、ケア方法を変えていくこと。例えば50代になると加齢により唾液腺が萎縮し、唾液の分泌量や質が低下しはじめます。唾液には殺菌効果があるので、唾液が減ると、お口の中の悪玉菌が増殖して炎症を引き起こす「歯周病」になりやすくなります。歯周病が進行すると歯茎が腫れて出血したり、悪化すれば口臭がきつくなったり、歯を支える骨が溶けて歯がグラグラし、最後には抜け落ちます。
それだけではありません。歯周病の原因菌は、口内の細かな傷や歯周ポケット(歯と歯茎の間にある溝)の毛細血管から体内に入ります。それが「糖尿病」「動脈硬化」「がん」「認知症」など、100を超える病気の原因と関連があると言われています。歯周病菌にも多くの種類があり、どの菌が病気と関連しているかなどの研究も進んでいます。「口の中の状態をみると、ある程度体内の老化の程度も推測できる、といえるでしょう」
28本すべての歯の歯周ポケットの深さが5mm以上ある場合、その歯肉の面積を合わせると約72平方センチメートル。これは、傷ついた手のひらを菌だらけの泥水にずっとつけているような状態で、絶えず侵入してくる外敵から身を守るために体の免疫機能も酷使されます。
若い頃と変わらないケアは× いますぐ見直しを
実は、35歳以上の日本人の約8割が歯周病といわれています。初期は自覚症状がありませんが、体の抵抗力が弱まると悪化しやすいので加齢とともに注意が必要。下のリストで定期的にチェックしましょう。多くの場合は、歯磨きなど日常的なケアを“正しく”行うことで改善します。
50代は100年時代の折り返し地点。正しいケアにシフトして、生涯“健口(けんこう)”生活を送りましょう。
歯周病セルフチェックリスト
□歯肉の色が赤い、黒っぽい
□歯と歯の間の歯肉が腫れている
□歯肉がむずがゆい
□歯磨きなどで歯肉から血が出ることがある
□歯を押すとグラグラする
□歯が長くなってきたように見える
□歯と歯のすき間が広がってきた。食べ物が挟まりやすくなった
□歯の表面を舌で触るとザラザラしている
□口臭を指摘されたことがある
1つでも当てはまれば歯周病の疑いがあります。初期は自覚症状がないまま進み、中等度になると歯槽骨(歯の根を支える骨)の破壊が進んで歯がぐらつき始めます。進行の程度が気になる人は歯科医へ。歯周ポケットの深さを測る検査などをしてくれます。
見直すべきお口の手入れ
歯磨きは正しい力加減で
子どもの頃と同じ方法で力まかせに磨いている人もいまだいます。歯が長くなってきたのは、歯周病が悪化したのではなく、歯磨きで歯肉が縮んでしまっていることも。
歯間ケアを取り入れる
50代になると歯と歯の間が広がってきて食べかすが残りやすくなるので、歯間ケアはマスト。これからは歯の表面をごしごし磨くよりも、歯のすき間掃除に重点をおいて!
効果的なうがいを身につける
日本人はうがい下手。せっかく歯磨きで食べかすや歯垢を取り除いても、最後にうがいでしっかり洗い流さないと、歯のくぼみや歯肉に付着してしまい、歯磨きが無駄な努力に……。
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教えてくれたのは……歯学博士 照山裕子先生
【PROFILE】
日本大学歯学部卒業。同大学院歯学研究科にて博士号取得。世界でも専門医が少ない「顎顔面補綴」を専攻。著書に、『「噛む力」が病気の9割を遠ざける』(宝島社)、『7秒うがい〜歯科医が考案した新習慣! 免疫力を高めてウイルスを遠ざける』(きずな出版)などがある。
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illustration:Noriko Okamoto
text:Keiko Nakayama
(大人のおしゃれ手帖 2021年12月号)
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