週末はどこかへ旅に出ませんか。トラベルジャーナリストの寺田直子さんが、自身が感動した旅を厳選して「大人女子的2泊3日の旅」を提案します。無理のない行程、比較的静かな環境、大人が満たされる贅沢感に配慮した旅先は、非日常が味わえること必至。今回は、伝統建築と日本庭園を楽しめる、これから大注目のエリア「にいがた庭園街道」をたどる旅をご紹介します。
教えてくれたのは……
トラベルジャーナリスト 寺田直子さん
旅歴30年、訪れた国は約90ヶ国。ホスピタリティビジネス、世界のホテル&リゾートに精通。雑誌等に寄稿する他、ラジオ出演、講演など多数。11月に『増補版フランスの美しい村を歩く』(東海教育研究所)出版予定。
《1日目》本質が理解できる大人にぴったりの街道
「にいがた庭園街道」とは、豪農・豪商たちが残した邸宅、寺院、町屋などの伝統建築と日本庭園が集中している全長約150kmの街道のこと。まさにこれから大注目のエリアです。
新潟の「庭園街道」は、里山の風景に古い建築と庭園の両方がほぼそのまま残っている稀有な存在。庭園街道に登録されている見所には、日本庭園を見るポイントや意匠を解説するガイドがいるので、歴史・文化への知的好奇心をくすぐられること間違いなしです。
初日は朝からJR村上駅に降り立ち、曹洞宗の古刹 普済寺から。ゆっくり見学をした後は、この地の暮らしを古くから支えてきた鮭の加工品を扱う千年鮭 きっかわを訪れたい。
そしてランチは井筒屋で伝統の鮭料理をいただきます。お腹を満たした後は、豪農の邸宅 渡邉邸へ。一説には地域に雇用を生み出し、経済を循環させるための豪壮な建築であったとも言われています。
この日の宿は瀬波温泉で。日本海に沈む夕日を見ながら温泉につかり、歩き疲れた体を癒しましょう。
***1日目の行程***
9:00 JR村上駅に到着
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普済寺
1527年に創建。住職自ら丹精を込めて造園した庭園では山野草も見られる。事前にコンタクトを取っておけば、住職から直々に建物や庭園の解説を受けられる。
住所_新潟県村上市大場沢1847
TEL_0254-72-1974
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千年鮭きっかわ
天井の梁から鮭が1000尾以上吊るされた様子が圧巻。鮭の塩引き、生ハム、作りたて焼漬などを自然にこだわった材料選びと製法で製造・販売。
住所_新潟県村上市大町1-20
TEL_0254-53-2213
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井筒屋
村上伝統の鮭が一年中味わえる鮭料理専門店。不漁で苦しんだ後、鮭の増殖に世界で初めて成功した村上では、鮭は特別な食材。皮から骨まで余す所なく頂く。
住所_新潟県村上市小町1-12
TEL_0254-53-7700
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渡邉邸
3000坪という広大な敷地に土蔵や廻遊式庭園が広がる大商家・豪農の邸宅。木羽板20万枚と石1万5000個を使った主屋の屋根(石置木羽葺屋根の撞木造り)も注目。
住所_新潟県岩船郡関川村下関904
TEL_0254-64-1002
《2日目》鮮やかな紅葉を眺めながら日本庭園の見方を学ぶ
翌日は、JR新発田駅から。まずは敷地8000坪、越後最大の千町歩地主の邸宅と言われる市島邸へ。紅葉を楽しみながら回遊式庭園を散策します。
次に新発田藩の下屋敷として4代藩主によって創建された風格ある清水園へ。ガイドの詳しい解説で、日本庭園のセオリーが理解できると見方が大いに変わりますよ。
夜は、村杉温泉の長生館に宿泊。アットホームな温泉は、お庭も庭園街道のひとつで見所です。
***2日目の行程***
JR新発田駅
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市島邸
600坪におよぶ建物の大半は、明治初期の代表的住宅建築として簡素優雅な趣があり、庭園との美しいハーモニーを奏でる。
住所_新潟県新発田市天王1563
TEL_0254-32-2555
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清水園
草書体の「水」の字をかたどった大池泉のある回遊式庭園には、江戸期の書院と5つの茶室が。
住所_新潟県新発田市大栄町7-9-32
TEL_0254-22-2659
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風雅の宿 長生館に宿泊
泉質は、身体が芯から温まるラジウム温泉。食事は、銀座の新ばし金田中や新潟料亭鍋茶屋で修業した料理長が、旬の食材と地産地消にこだわった丁寧な仕事が光る料理を提供。
前菜に出される手作り豆腐は、まるでクリームチーズのような濃厚でとろりとした味わいが大評判。
住所_新潟県阿賀野市村杉4632-8
TEL_0250-66-2111
《3日目》知識欲を満たしたら最後は通好みの鮨屋でシメ
最終日はJR新潟駅へ。新潟市内にある旧齋藤家別邸は、意匠のディテールが凝っていてとても愛らしいです。この2日間で得た庭園や建築の知識をここで試してみてはいかが?
そして次は、絶対に訪れたい北方文化博物館。ガイドツアーへの参加がオススメです。
もし夕刻まで滞在できるなら、花街にある兄弟寿しで、新鮮な新潟の魚介に舌鼓を打ちたいところ。最高の旅のシメになると思います。
***3日目の行程***
新潟市 旧齋藤家別邸
大正時代の豪商の迎賓館。庭園と建物を一体と捉える“庭屋一如”の趣向で、各部屋からの庭の眺めが素晴らしい。
住所_新潟県新潟市中央区西大畑町576
TEL_025-210-8350
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豪農の館 北方文化博物館
明治22年、8年の歳月をかけ完成した豪農・伊藤家宅。戦後初の私立博物館で国登録文化財。
約100畳の書院造りの大広間棟は、格式高いお座敷。庭園との一体感の理由は、柱の少なさ。
住所_新潟県新潟市江南区沢海2-15-25
TEL_025-385-2001
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兄弟寿し
店名は、初代店主が兄弟で創業したことから。新潟港で水揚げされた旬の鮮魚の美味しさを存分に堪能できる。
住所_新潟県新潟市中央区古町通9-1461 坂上ビル1F
TEL_025-224-9581
日本庭園の「みかた」が分かるともっと面白い!
歴史、伝統をふまえて造られた日本庭園には共通するビューポイントがあり、そこからは庭師や棟梁が技の限りを尽くして施主の思いを形にした、素晴らしい景色が見えます。「にいがた庭園街道ネットワーク」では、2名から庭園のみかた講座を催行。
※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください
監修_寺田直子
文_土屋沙織
編_安藤彩紀[vivace]、FASHION BOX
(GLOW 2019年9月号)
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