仕事をしていると、締め切りを延ばしてほしかったり、ときには無茶なお願いをしなくてはならないことも。こちらの要望を相手にスムーズに受け入れてもらうためにも、丁寧な言葉遣いができるようになっておきましょう。
このコンテンツの監修者は……
【Profile】
山口謠司(やまぐち・ようじ)さん
1963年、長崎県生まれ。大東文化大学文学部准教授。博士(中国学)。テレビやラジオの出演も多く、NHK文化センター、朝日カルチャーセンター、中日文化センターなどでも定期的に講演や講座を開いている。『日本語を作った男 上田万年とその時代』(集英社インターナショナル)で第29回和辻哲郎文化賞受賞。『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』(ワニブックス)、『心とカラダを整える おとなのための1分音読』(自由国民社)など、著書多数。
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締め切りを延ばしてほしいとき
×:やりがちな言葉遣い
「提出期限を延ばしてもらえないでしょうか」
○:美人の言葉遣い
「提出期限を◯月◯日に調整していただけませんか」
「ご猶予(ゆうよ)を頂戴できますでしょうか」
ワンポイントアドバイス
「猶予」には、「ぐずぐずして物事を決めないこと」という意味もある。会議などで「猶予すべきときではないのでは」といった遣い方もできる。
無理な期日と約束の期日、それぞれの言い方
納期や締め切りを延ばしてもらうときは、「いつまでに」ということをハッキリ伝えましょう。◯月◯日だったら責任をもって満足していただけるものを提出できる、ということをしっかり相手に伝えます。クライアントに無理なスケジュール設定をされたときなど、言うべきことはきちんと相手に言わなければならない場面もあると思います。「調整していただけませんか」という言い方が、必要以上にへりくだりすぎず、ビジネスライクでよいと思います。
約束した期日を延ばしてもらうときは、「猶予」という言葉を遣ってお願いします。「猶予」には実行の期日を延ばすという意味や、延期を認めるという意味があります。期日を延ばしていただけませんか、延期を認めていただけませんか、というお願いは、「3日間のご猶予をいただきたく」などという言い方をします。
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無理なお願いをしたいとき
×:やりがちな言葉遣い
「なんとかお願いできませんか」
○:美人の言葉遣い
「ご無理をお願いして申し訳ございませんが、なんとかお聞き届けいただけませんか」
「厚かましいお願いで恐縮ですが〜」
さらにステップアップ!
メールでお願いするときは「大変心苦しいお願いで恐縮ですが、なんとかお聞き届けいただければ幸甚(こうじん)に存じます」という表現が好ましい。
恐縮していることを伝えてからお願いする
相手にとって無理なお願いをどうしてもしなければならないとき、まず、「ご無理をお願いして申し訳ない」「厚かましく思っている」「心苦しい気持ちだ」ということを伝えてからお願いするようにします。厚かましいとは、図々しく遠慮がないことで、それを承知で「なんとかお願いしたい」という気持ちを伝えます。
「恐縮」という言葉については「恐れて身も心も縮こまる」という意味のほかに、「申し訳なく思って身を縮ませる」という意味がありますので、お詫(わ)びやお願いをするときに遣うと丁寧さが伝わります。
「聞き届ける」という言い方には、申し出を聞いて許す、聞いて承知するという意味がありますから、「許してください」「承知してください」というお願いを聞き入れてもらうという、このような場面にふさわしい言葉です。
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名前を忘れてしまったとき
×:やりがちな言葉遣い
「お名前をど忘れしてしまいました。教えてください」
○:美人の言葉遣い
「ご担当してくださっている方のお名前を失念(しつねん)してしまいました。ご教示くださいますか」
さらにステップアップ!
「廃忘(はいもう)してしまいました」という言い方も。「廃忘」は「敗忘」とも書き、ハッと一瞬忘れてしまったときに遣う。まさにど忘れしたときには適した表現。
本当はよく知っている、というニュアンス
「担当していただいている」では、担当してもらっている自分に「いただく」という尊敬語がかかってしまうので、ねじれた表現になります。この場合は「くださる」です。「担当してもらう」というときは、「ご担当いただけますでしょうか」と、相手に対する尊敬を表しているので「いただく」を遣います。
また、うっかり忘れてしまったときは、「失念」という言葉が便利です。「本当は覚えているのですが……」というニュアンスをもたせることができます。「念」という字の上の部分の三角形は、「塞ぐ」という意味があります。その下の「フ」の形が表しているのは、物事をぐっと押し込めている様子です。その下に心があることから、心の中にぐっと押し込めているものということです。つまり本当はよく知っていることをうっかり忘れてしまうのが「失念」というわけです。
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(抜粋)
書籍『美人は上品な言葉遣いでできている オトナ女子のための「語彙力」練習帳』
著者:山口謠司
イラスト/chieko
構成・編集/小西眞由美 西垣一葉(春燈社)
WEB編集/FASHION BOX
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