GLOWで連載中の、婦人科のお悩みを解決する「レディスクリニック」。今回はなかなか人に聞けない性交痛に関するお悩みです。咲江レディスクリニック院長の丹羽咲江先生が解決策を教えてくれました。
≪目次≫●「セックスをすると痛むことがあります」
●45才なら性交痛があるのはふつうのこと
●性交痛に理解のあるクリニックに行こう
●教えてくれたのは……
「セックスをすると痛むことがあります」
久しぶりにセックスしたら痛かったのですが、ガマンしました。パートナーに言うと年齢のせいと思われそうで伝えにくくて困っています。
<解決案>
・市販の潤滑剤を使ってみよう。膣の中に入れるものは神レベルの効果が!
・潤滑剤でダメなら性交痛に理解のある婦人科に相談しよう
45才なら性交痛があるのはふつうのこと
医療品メーカーが20〜69才の男女を対象にして調査を行ったところ、女性の67%がセックスの時に痛みを感じることがあるという結果が出ました。けっこう多いですよね? 性交痛は多くの女性が抱えているトラブルなのです。
これまで性交痛を感じたことがなく、40代後半になって初めて痛みを感じたなら、女性ホルモンが減ったことで膣が狭くなったり、膣や外陰部の粘膜が萎縮したことが痛みの原因だと思います。
また、女性ホルモンが減れば、セックスの時に出る分泌物も減ってきて濡れにくくなってきます。あるいはセックスを面倒くさいとか、イヤとか思っていると精神的な興奮度が足りなくて濡れにくくなります。これは自然なことですが、濡れにくければ痛くなるし、傷もつきやすくなります。
そこで使っていただきたいのが潤滑剤です。目が見えにくくなって老眼鏡を使うのと同じように、濡れにくくなったら潤滑剤を使うのはふつうのことです。最近の潤滑剤はとても進化していて、タンポンのような形状のもの、1回使い切りのチューブタイプのものがあって、ネットやドラッグストアで手に入ります。どちらも手を汚さずに膣の奥に入れることが可能です。液だれしにくいので、トイレで入れれば相手にバレません。神レベルで痛みが出ないので、GLOW世代の必需品です!
セックスは行為そのものを“お勤め”のようにするのではなく、仲良く会話できて、ボディタッチもあって、最終的にセックスをするというものだと思います。コミュニケーションツールですね。ふだんから相手とそういう関係でいれば、目薬をさすのと同じ感覚で「潤滑剤、使うねー」と明るく言えるはず。相手が同年代なら体の変化はお互いさま。脂肪がついてボディラインが変わることも、相手がED気味なこともあるでしょう。そんな時に「今日は調子が悪いんだね。次はちょっと変えてみる?」と笑って話せるといいと思います。
ハグする、手をつなぐと幸せホルモンとも呼ばれるオキシトシンが分泌されることがわかっています。オキシトシンには認知症の予防とか、体の痛いところを改善するなど、体を快適にするような効果があります。セックスをしないと不健康になるわけではありませんが、心地よいセックスをするとより元気になりますよ。
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性交痛に理解のあるクリニックに行こう
潤滑剤を使ってもまだ痛むとしたら、膣粘膜が非常に薄くなって手にたとえるならあかぎれのような状態になっているかもしれません。その場合は婦人科に相談を。基本的には女性ホルモン剤を内服するか、膣に入れる座薬を使います。最近では膣内と外陰部にレーザー照射をする治療を行っているクリニックも増えています。レーザー治療は乳がんや子宮体癌の治療後などで女性ホルモンが使えない場合にもおすすめです。
とはいえ、ドクターに相談しにくい方もいらっしゃるでしょう。
また、性交痛は病気として認識されにくいこともあるようです。レーザー治療をしているクリニックに相談すると理解してもらえると思います。近くで見つからないとか、レーザー治療をするほどの思い切りはないけど女性ホルモン治療を試してもいいかななどと思ったら、「外陰部の乾燥感がひどい」「こすれて痛い」と相談すると、性交痛と同様の女性ホルモンの治療を受けられると思います。
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教えてくれたのは……
咲江レディスクリニック院長
丹羽 咲江先生
【Profile】
女子学生向けに性教育を、一般女性向けに女性の健康をテーマにした講演を数多く行っている。産婦人科専門医。日本性科学会 幹事。
イラスト=MAIKO SEMBOKUYA
取材・文=黒川ともこ
(GLOW 2020年7月号)
WEB編集=FASHION BOX
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