恋をすると感じる、胸のドキドキや気分の高まり。これらは、脳内で分泌される快楽物質のひとつ、ドーパミンによるものとされる。一説では、このドーパミンが免疫力アップをはじめ、やる気や創造力も向上させる役割を担っているとか。ドーパミンが体に与えるといわれる影響についてご紹介。
≪目次≫●恋のドキドキは、“ドーパミン”のせい!?
●幸せホルモン“ドーパミン”はどこから放出される?
●教えてくれたのは……
恋のドキドキは、“ドーパミン”のせい!?
恋をすると免疫力が上がるのではないか、という推察がある。恋愛中にドキドキしてしまうのは、ドーパミンという脳内伝達物質が大量に分泌されているからである。ドーパミンは、快楽物質のひとつであり、実は、麻薬の覚せい剤とよく似た分子構造を持っている。好きな人に何度も会いたい、いつでも会いたいなどと思ってしまうのは、ドーパミンが脳の中枢に大量に放出されて、脳が覚醒して快感を覚えてしまっているからなのである。
このドーパミンが、免疫力を高める物質としても重要な役割を担っているのではないか、と考える専門家もいる。アメリカのある研究者は、女性の被験者を集め、恋愛がスタートする前と後で血液検査を実施して調査を行っている。快楽物質と呼ばれるドーパミンは快楽のみならず、意欲や創造力を生み出す力も持っている。これは脳の前頭葉が刺激され、活性化するためである。
免疫力アップのためには異性との良好な関係を築くことが大切だと説く専門家もいる。病原体と闘うパワーを養うためにも、いくつになってもたくさん恋をしたほうがいいのかもしれない。
●免疫力の豆知識:キスすることで増える癒やしの幸せホルモン
キスをすることで、脳内ホルモンのβ-エンドルフィンやオキシトシンが生成される。こうした幸せホルモン、癒やしのホルモンはリラックス効果をもたらすため、免疫力を高めてくれるのだ。狭心症、脳梗塞、うつ病などのリスクを軽減するというデータもある。
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幸せホルモン“ドーパミン”はどこから放出される?
既婚、未婚に関係なく異性は刺激を与え、幸せホルモンのドーパミンを出すきっかけになる。実際、男性は女性と過ごすことにより健康寿命がのびるというデータがある。
恋をすると、「胸がドキドキする」と表現することがあるが、ほとんどの場合、心がドキドキすると感じている。では、心はどこにあるのだろう。医学も脳医学も発達している現代においては、心は脳にある、と答えるのが常識である。しかし、それはわかっていても、感覚としてドキドキ感じるのは脳ではなく、心臓ではないだろうか。失恋したときにキュンと痛むのも脳ではなく心臓だと、多くの人が感じているだろう。アリストテレスの時代には、心は心臓にあると考えられていた。古代バビロニアでは、肝臓に、ヒポクラテスは脳に、プラトンは脳と脊髄にあると考えていたのだ。
しかし、やはり心は脳にあるのである。恋をしてドキドキするのも、脳内伝達物質のドーパミンの仕業なのである。前述したように、覚せい剤とよく似た分子構造を持っているドーパミン。恋をすると、脳内に大量に放出される。では、「放出される」とひと言でいうが、いったいどこからどこへ放出されるのだろうか?
それは、脳内のA10と呼ばれる神経細胞から、精神活動を司る前頭連合野に向けて直接分泌されているのだ。それが脳内に伝達されて、快楽を感じるのである。ドーパミンが大量放出されると、心が晴れやかになってくる。前向きになり、気力もアップする。恋をしているときのウキウキワクワクとした心の動きも、ドーパミンの大量放出によるものなのだ。
こうした状態から、いきなり失恋に陥ってしまうこともある。そこにはとてつもないストレスがかかる。リラックスをもたらす副交感神経もうまく作動せず、免疫力が一気に下がる可能性もある。こういうときにこそ、感染症に警戒すべきである。失恋の痛手に打ちひしがれている間に、新型コロナウイルスの侵入を許してしまう可能性もあるのだ。
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教えてくれたのは……
クリエイティブ・ユニット
トキオ・ナレッジ
【Profile】
誰でも知っていることはよく知らないけれど、誰も知らないようなことには妙に詳しいクリエイティブ・ユニット。弁護士、放送作家、大手メーカー工場長、デザイナー、茶人、ライター、シンクタンクSE、イラストレーター、カメラマン、新聞記者、ノンキャリア官僚、フリーター、主夫らで構成される。著書に『正しいブスのほめ方プレミアム』『ずっと信じていたあの知識、実はウソでした!』(ともに宝島社)など。
(抜粋)
書籍『大人の免疫学常識』
著者:トキオ・ナレッジ
編集:株式会社G.B.
イラスト:大野文彰(大野デザイン事務所)
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WEB編集:FASHION BOX、株式会社エクスライト