どうも、こんにちは。寝顔が汚いフォトグラファー、ヨシダナギです。
ついに、この連載コラムも今回が最終回でございます。担当のFさんに「最終回は是非、今後の展望でも語っていただけたら嬉しいです!」と言われたのだけれども、今日明日のことしか考えていない私には将来の展望なんて綴れるわけもなく……。最終回も通常運行の“他力本願力”を発揮して、先日、皆さまから募集させていただいた質問にお答えするかたちで幕を閉じさせていただきたいと思います。
※皆さん、こんなヨシダに毎回ネタを提供(質問)してくださいまして本当にありがとうございます!
≪目次≫
- Q1:ヨシダナギって体力あるの?
- Q2:ヨシダナギの日焼け対策は?
- Q3:ヨシダ家の自宅インテリアは?
- Q4:シセにG-SHOCKは贈ったの?
- Q5:自己流でフォトグラファーになり、ここまで有名になれたのはなぜ?
- Q6:ヨシダナギにそっくりな後輩と仲良くなりたい!
- Q7:ヨシダナギのメディア戦術は?
- Q8:ナギさん、この連載、疲れちゃった?
- ヨシダナギ/Profile
※こちらの記事は2017年8月20日に初掲載されました
Q1:ヨシダナギって体力あるの?
Q1 : 「現地の移動は歩くことも多いと思います。体力はもつのでしょうか?
今までのコラムを読むと筋トレなどはしていないと思い……(笑)」(質問者:みさみささん)
ヨシダナギからのA1 :
根っこは「できることなら外に出たくない! なるべくなら歩きたくない!」という精神のグータラ人間ですので、そもそも体力はそんなにありません。反面、最近行く国がハードな場所になってきている為、三十路のヨシダのHP(ヒットポイント)は常にゼロに近しい状況でございます。とはいえ、私には体を張ることくらいしか取り柄もありませんので、半年ほど前から31年間“頑(かたく)なに拒み続けてきた筋トレ・体力づくり”をやらざるをえなくなりました。が、仕事を少しでも楽に円滑に進めるために始めたトレーニングのはずなのに、日本でのトレーニングがしんど過ぎて、先日の海外ロケでは渡航直前に体力をトレーニングでほぼほぼ消耗するという失態をおかしまして、渡航中は最悪のコンディションだったという……。「やっぱり人間、慣れないことはするもんじゃない!」ということを身をもって学びました。
なので、だましだまし撮影を行なっています。
Q2:ヨシダナギの日焼け対策は?
Q2 : 「いつも真っ赤に日焼けされてて、リュックの紐が痛くないのか心配になります。
日焼け対策は万全ですか?」
(質問者:ちゅかしゃさん)
ヨシダナギからのA2 :
めっちゃ痛いです! が、私は日焼け止めクリームなどは一切使用しません。
その理由は2つあるのですが、1つは幼少期から黒い肌のアフリカ人が美しいと感じていたので、黒く焼けることへの抵抗がそもそもないんです。
2つ目は、私なりのアフリカ人へのリスペクトです。アフリカの大多数の人は黒い肌に誇りを持っているのですが、その反面で黒い肌ということだけで理不尽な辛い目に遭遇してきた歴史もあり、外国人が日焼け対策をしているのを見て「私たちと同じ黒い肌になりたくないから塗りたくってるんだ!」と思い込んでしまうこともあり……。特に、少数民族の人たちはそれらに敏感で、私の行動をよーく見ているんですよ。なので、日焼け対策をしない私を現地ガイドや少数民族が「お前は他の外国人とは違う。お前は黒い肌の俺らを心底リスペクトしてくれている」と認めてくれたことも多々あるので、今後も日焼け止めクリームなどは塗らない方針でいこうと思ってます。
Q3:ヨシダ家の自宅インテリアは?
Q3 : 「ナギさんが現在住まわれている自宅の内装はどんな感じなのか知りたいです!
派手なのか地味なのか独特なお部屋なのか答えられる範囲で結構ですので」(質問者:都築伸一さん)
ヨシダナギからのA3 :
“アフリカに行っている人”というと、服とか部屋とか派手そうなイメージを持たれがちなのですが、私の場合は原色などの色味が強いものを身の回りに置くのは苦手なので、服は黒ばっかりですし、部屋もグレーや廃材・無垢材など落ち着いた色味のものしかないかもしれません。
因(ちな)みに、部屋の中は物が異様に多いです。何でも捨てる性格のくせに、捨てても捨てても物が増えていくので10年程その怪奇現象に悩んでおります。
Q4:シセにG-SHOCKは贈ったの?
Q4 : 「シセにG-SHOCKはプレゼントしましたか?」
(質問者:トマトの王子様さん)
ヨシダナギからのA4 :
私は彼からの定期的、且(か)つ、一方的なG-SHOCKのおねだりメールを約5年間も受信し続けました。それらのメールは全て完全無視していたのですが、あまりのしつこさに何度かG-SHOCKを送って黙らせようかという考えも頭をよぎりました。ですが彼のような性格の人に贈り物をしたら「やっぱりナギは素直じゃないだけで俺のことが本当は好きで好きで仕方がないんだメーン☆」と勘違いされる恐れがある上に、新しい何かをねだられる危険性が高かった為、5年間、ひたすら無視し続けたんですね。その結果、「そんなに俺のことを拒絶しなくてもいいじゃないか。よっぽどナギは俺のこと嫌いなんだね」という素晴らしいメールが届きまして、現在、ヨシダは平穏な日々を送っております。
※私の永遠の宿敵、シセのことは↓ 紀行本『ヨシダ、裸でアフリカをゆく』(扶桑社) に記載されておりますので気になるなーって方は是非コチラをチェックしてやってくださいませ。
Q5:自己流でフォトグラファーになり、ここまで有名になれたのはなぜ?
Q5 : 「自己流でここまで這い上がる術は?
私もグラフィックデザイナーを40年以上やっています。私の経験で自己流でカメラマンになってメシを食っている人を見たことがないのです。広告業界の中でもナギ様は謎の得体の知れぬ存在です。」(質問者:CAWAIさん)
ヨシダナギからのA5 :
それがですね、いくら考えても私自身、何故カメラマンになっちゃったのか全く分からないんですよ。
私は23歳の時に親の猛反対を振り切ってアフリカに渡ったんですけど、それからずーっと親の心配をよそに憧れのアフリカ人を趣味で追い駆け続けてきたんです。その間、何度も親族に「お願いだからどこかの企業に就職して、普通の安定した生活を送って両親を安心させてあげてくれ」と説教を受けたのですが、学歴も無いですし、何よりも協調性に欠ける性格なのでアルバイトをしてみても必ず2~3カ月でクビになっちゃうんですね。だから、自分でも時折(私、将来大丈夫なのかな。一体、私にはどんな仕事ができるんだろう?)と悩んではいたんですけど、結局、悩んでも答えなんてでないので面倒臭くなって、その都度アフリカに逃げていたというか、心のどこかで「ひたすら好きなことやっていればやりたいことが見つかる。もしくは、何とかなるだろう」って自分に言い聞かせて、アフリカに通い続けていたところ、今に至ったんですよね。不思議なもんです。
なので、もし、私が「カメラマンになりたい!」という夢を抱いていたり、カメラが趣味だったら私の場合は写真家にはなれていなかっただろうなと思ってます。とは言え、私の性格とカメラのスキル上、いつまでカメラマンとしての需要があるのか全く分からないので、来年、再来年には違うことしてるかもしれないですし、今はきっと“何かしらの過程の一部”なのだと思ってます。
Q6:ヨシダナギにそっくりな後輩と仲良くなりたい!
Q6 : 「部活の後輩でヨシダナギさんにそっくりな可愛い女の子がいます。
どうしたら仲良くなれるか教えて下さい!」
(質問者:すみきくんさん)
ヨシダナギからのA6 :
もし、その彼女が顔だけでなく、ヨシダナギと感性も似ている子であれば通りすがり、もしくは、耳元で「さぁ、行きますよ! ザーボンさん! ドドリアさん!」とフリーザ様の声真似、もしくは「ガッデム!」と蝶野正洋さんの声真似をしてみてあげてください。ヨシダナギなら間違いなく、食いつきます。なんなら、コロっと落ちることでしょう。
※この方法で彼女と仲良くなれなかったとしても、当方は責任を負えませんので予めご了承願います。あと、実際に私本人にやったら警察をすぐ呼びます。
Q7:ヨシダナギのメディア戦術は?
Q7 : 「ナギさんが世に知られるきっかけは主にTVに出演されたことが大きいと思われますが、
自身のメディア戦術についてどうお考えですか?」
(質問者:市川幸男さん)
ヨシダナギからのA7 :
全く考えたこともなく、今ちょっと考えただけでも眠くなってしまったので、その辺りを担当しているマネージャーのキミノに振ったところ「明かしすぎない、隠しすぎない」と申しておりましたので、そんな感じだそうです。
Q8:ナギさん、この連載、疲れちゃった?
Q8 : 「数週間に1度のペースとはいえ、8カ月間もの連載にご対応いただきまして、ありがとうございました! 国内外への出張をこなしながらの原稿作成、さぞ大変だっただろうと感謝している次第ですが、
連載を終えての率直な感想を
お聞かせいただけますと嬉しいです。(疲れたから、もう2度とやりたくない……という声が聞こえてきそうですが……笑)」(質問者:フジオさん)
ヨシダナギからのA8 :
当コラムの担当者さんがスルっと質問を忍ばせてきていたので、お答えさせていただきます。本コラムはお題がゆるく、読者様からの質問コーナーなんかで融通が利かせてもらったりして何とかなった部分が多々あるのですが、やっぱり私の性格的に“定期的に決まった何かをしなくてはならない”ということが精神的にシンドかったです(原稿を提出しても、また2週間後には〆切がくる)。そう思うだけで、締め切りまでの2週間が憂鬱と嘔吐(えづ)きの日々と化してしまう性格なので、自分には向かないと改めて確信しました。ただ、こんなポンコツのヨシダナギにこのような連載コラムという貴重な試練と機会を与えて下さった担当者のフジオさんには感謝しておりますし、この毒にも薬にもならないコラムを毎回楽しみに読んで下さった読者の皆様には大変感謝しております。
ココだけの話、率直な感想としましては「2度と連載はやんないよー!」です(笑)
ということで、当コラム「ヨシダナギのココだけの話」はこれをもって幕を閉じます。ホントに連載とかブログとか定期的に更新しなくてはならないものが改めて億劫だと学びましたので、ヨシダはこれにて執筆作業を少し休みたいと思います。でも、写真撮るのが苦手なこととか、レタッチの仕方がいつも分からないこととか、等身大の自分を当コラムで晒(さら)せたのでスッキリしております。これからも自分のやれることをやれる範囲でゆるゆると続けていければと思っておりますので、今後ともどうぞヨシダナギを宜しくお願いします。そして、ヨシダの連載コラムにお付き合いいただきまして本当にありがとうございました!
それではまた会う日まで、ごきげんよう。
※FASHION BOX編集部 注:お送りいただいた質問文は一部改変しております。ご了承ください
[連載(2)ヨシダナギのココだけの話]アフリカは「恋人」ではなく「古女房」
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[連載(6)ヨシダナギのココだけの話]カメラに興味がないフォトグラファーの撮影方法 ~前編~
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[連載(11)ヨシダナギのココだけの話]「ヨシダ」は実はデュオだった!? ポンコツ式仕事術
ヨシダナギ/Profile
(nagi yoshida)
1986 年生まれ。フォトグラファー。
2009年より単身アフリカへ。以来、独学で写真を学び、アフリカをはじめとする世界中の少数民族を撮影、発表。
唯一無二の色彩と直感的な生き方が評価され、2017年には日経ビジネス誌で「次代を創る100人」、雑誌『Pen』「Penクリエイター・アワード 2017」へ選出。「講談社出版文化賞」写真賞を受賞。
著書に、写真集『SURI COLLECTION』(いろは出版)、写真集『HEROES ヨシダナギBEST作品集』(ライツ社)、紀行本『ヨシダ、裸でアフリカをゆく』(扶桑社)、エッセイ『ヨシダナギの拾われる力』(CCCメディアハウス)がある。2020年には世界中のドラァグクイーンを被写体とした作品集『DRAGQUEEN ‐No Light, No Queen‐』を発表。
近年は、阿寒湖イコロシアター「ロストカムイ」キービジュアル撮影、山形県「ものづくり」プロモーションのムービーディレクション、タヒチ航空のプロモーションビジュアル撮影など国内外での撮影やディレクションなどを多く手がける。
公式サイト http://nagi-yoshida.com/
Text:ヨシダナギ
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