大事なのは質より量を減らすこと

高血圧なら減塩より塩の質にこだわるべき!? 塩分との上手な付き合い方を医師が解説

高血圧の大敵とされてきた塩分。減塩に気を使っている方も多いのではないでしょうか? ところが、血圧に詳しい医学博士の板倉弘重先生によると、注目すべきポイントは塩の量ではなく、塩の質だそうです。そこで今回は、高血圧対策に効果的な塩分との付き合い方について、解説していただきました。

※高血圧で治療を行っている方は、塩分摂取に関して医師の指導のもと実践してください

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塩は本当に高血圧の敵?

高血圧対策には塩の量よりも“質”を見直すべき!? 医師監修 塩分との上手な付き合い方

塩は、多くの高血圧対策では、まず真っ先に減らすべきものとされています。日本高血圧学会では、1日の塩分摂取量の目安は6g未満。しかし、生命を維持するためには塩も必要不可欠。塩分が不足すると、低血圧や筋肉痛、頭痛、頻脈(ひんみゃく)といった不具合が現れます。体全体のことを考えたら、塩も必須ミネラルのひとつ。どれだけ減らすかではなく、どのように摂るかを考えなければいけません。

■食卓塩により体内のミネラルバランスが崩れる

私たちの日常でなじみのある塩といえば、いわゆる食卓塩です。しかしこれは、昔ながらの塩とはまったくの別物といっていいでしょう。戦後に開発された製塩法により、私たちは塩化ナトリウム99.5%という高純度の塩を、大量かつ安価につくり出せるようになりました。しかし、高純度であるということは、原料となる海水にもともと含まれていた塩化ナトリウム以外の成分をほとんど取り除いてしまったということを意味します。つまり、精製塩を使っていると、塩化ナトリウムだけしか摂らないことになり、体内のミネラルバランスは崩れてしまいます。この結果、血圧はどんどん上がっていきます。

■ミネラル豊富な天然塩は排出がスムーズ

一方、昔ながらの製法で作った塩(天然塩)には、カリウムやマグネシウムといった必須ミネラルが豊富に含まれています。多少塩分を摂り過ぎた場合でも、塩分排出に働くミネラルも同時に摂っているので、ナトリウムの作用でいったん血圧は上がったとしても、自然に正常な血圧に戻るというわけです。

このように、塩との付き合いは、ただ量を減らすよりも、質にこだわりミネラルバランスの整った塩を選ぶことが大切なのです。

 

塩分と上手に付き合う方法

その1. 精製塩ではなく天然塩に変える

高血圧対策には塩の量よりも“質”を見直すべき!? 医師監修 塩分との上手な付き合い方
天然塩は、Mg(マグネシウム)、K(カリウム)、Mn(マンガン)、Ca(カルシウム)、Na(ナトリウム)などのミネラルを豊富に含む

塩を摂り過ぎてしまう理由のひとつとして、調理に精製塩(食卓塩)を使うようになったことが挙げられます。もしも精製塩を使っているなら、天然塩に切り替えましょう。天然塩には、海水塩、岩塩、藻塩(もしお)などさまざまな種類があります。高血圧対策としてはごく普通の海水塩で構いませんが、好みに応じていろいろ使ってみるのもいいでしょう。

その2. できるところから塩分を控える

これまでと食べるものは同じでも、食べ方を工夫すれば自然に塩分を減らせます。たとえば、麺類のつゆは飲み過ぎない、刺身などのしょうゆはほどほどに、といったことです。調理のときは、だしを効かせたり、スパイスやレモン汁などを使った味つけを試してみてください。塩気に頼らなくなることで、逆に食べる楽しみが広がります。

■ドレッシングはかけ過ぎない

高血圧対策には塩の量よりも“質”を見直すべき!? 医師監修 塩分との上手な付き合い方

■つゆは飲まない!

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高血圧対策におすすめの調味料

塩麴・しょうゆ麴

高血圧対策には塩の量よりも“質”を見直すべき!? 医師監修 塩分との上手な付き合い方
塩麹(しおこうじ)

うま味が凝縮した発酵調味料 肉や魚の下味に!

塩やしょうゆの代わりに取り入れたいのが、塩麴としょうゆ麴。米麴に塩と水を混ぜて発酵させたものが塩麴で、しょうゆを混ぜて発酵させたものがしょうゆ麴です。うま味成分であるアミノ酸が豊富なため、塩分控えめでも物足りなさはありません。肉や魚の下味に使うと、麴菌に含まれる酵素の働きで素材を軟らかくしてくれます。

高血圧対策には塩の量よりも“質”を見直すべき!? 医師監修 塩分との上手な付き合い方
しょうゆ麹

黒糖

高血圧対策には塩の量よりも“質”を見直すべき!? 医師監修 塩分との上手な付き合い方
黒糖

甘さがほしいときにはミネラル豊富な黒糖を!

高純度の塩化ナトリウムである精製塩が好ましくないのと同様に、ほとんどがショ糖の上白糖は、血糖値を急上昇させ、糖化によって血管を劣化させます。甘さがほしいときには、ミネラル豊富な黒糖、またはハチミツがおすすめ。ただし、どれも食べ過ぎには要注意です。

 

オリーブオイル

高血圧対策には塩の量よりも“質”を見直すべき!? 医師監修 塩分との上手な付き合い方
オリーブオイル

オレイン酸の働きでコレステロールを増やさない!

オリーブオイルは、悪玉コレステロールを増やさないオレイン酸が主成分。抗酸化成分のポリフェノールも豊富なので、体内のサビを落として、血液をサラサラにしてくれます。ドレッシングなど生食でも、炒め物や揚げ物でも活躍してくれる使い勝手のよさも魅力です。

 

スパイス&ハーブ類も塩分量を減らすのに大活躍!

高血圧対策には塩の量よりも“質”を見直すべき!? 医師監修 塩分との上手な付き合い方
スパイス&ハーブ類

スパイスやハーブも、塩気に頼らない食事をサポートしてくれる食材。カレーに使われるクミンやカルダモン、パスタと相性のいいバジルやタイムなどはとくにおすすめです。ただ、こうしたハーブやスパイスは、和食には少し使いづらいかもしれません。でも、しそ、ねぎ、みょうがなどの薬味類も立派な和製ハーブ。味噌汁の吸い口にしたり刺身にたっぷり添えるなど、これまで以上に活用しましょう。

 

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教えてくれたのは……

板倉弘重(いたくら・ひろしげ)先生

【Profile】
医学博士。芝浦スリーワンクリニック名誉院長、品川イーストワンメディカルクリニック院長。東京大学医学部卒業。同大学第三内科講師、国立健康・栄養研究所臨床栄養研究部部長を経て、現職。赤ワインなどに含まれるポリフェノールの抗酸化作用を世界で最初に発見。著書、監修書は『ズボラでも脱糖尿病 血糖値 上がらないのはどっち?』(アスコム)、『日常生活のちょっとした工夫で血圧、血糖値は下がる!』(アントレックス)、『大丈夫! 何とかなります 血糖値は下げられる』(主婦の友社)、『ズボラでも血圧は下げられる!』(宝島社)など多数。

(抜粋)

高血圧対策には塩の量よりも“質”を見直すべき!? 医師監修 塩分との上手な付き合い方
TJ MOOK『医者もやっている 血圧の下げ方』 監修:板倉弘重

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編集・ライティング:藤田都美子、宇津井恵子

※本文に掲載している食品の摂取量については、目安となります。特定の病気のある方、アレルギーの方など、食品の摂取制限がある方は、医師にご相談のうえ実践してください
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WEB編集:FASHION BOX、株式会社エクスライト

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