高齢者・高血圧の方は血圧変動に注意! 冬の入浴前に準備しておくことを医師が解説

冬の入浴はヒートショック&浴室熱中症の危険性が! 高血圧なら気をつけたい点を医師が解説

寒い冬は、冷えきった体を湯船でゆっくり温めたいですよね。しかし、いきなり温度の高いお湯に浸かるのは危険です! 一気に血圧や心拍数が上昇して、立ちくらみを起こしたり、転倒したりしてしまうことも……。高齢者や高血圧の方は特に注意が必要です。そこで、安全・安心に入浴するためのコツを、血圧に関して多数の著書をもつ医学博士・板倉弘重先生に教えていただきます。

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もっとも注意すべきは冬の入浴! 血圧の急変動は命に関わる

高齢者・高血圧の方は血圧変動に注意! 冬の入浴前に準備しておくことを医師が解説

高血圧の人が、冬にとくに気をつけなければいけないのが入浴です。本来、健康にいいはずのお風呂ですが、入り方によっては血管に大きな負担を与える危険があるのです。

注意すべき点1. ヒートショック

そのひとつが、ヒートショック。暖房の効いた居室、脱衣所、浴室、湯船と、寒暖差が大きいうえに裸になっているので、血圧が乱高下します。脱衣所にヒーターを置く、入浴の少し前に湯船のふたを開けたりシャワーでお湯を流したりするなど、できるだけ寒暖差をなくす工夫をしましょう。予算があるなら、リフォーム工事で浴室にヒーターを取りつけてもいいでしょう。

注意すべき点2. 浴室熱中症

もうひとつ注意したいのは、浴室熱中症。高温多湿で気密性が比較的高い浴室では、想像以上に汗をかいています。知らず知らずのうちに体内の水分が失われ、血液がドロドロになり血圧が上がるのです。体内に熱がこもって気分が悪くなったり立ちくらみを起こしたりすると、転倒により溺れてしまうことも。

入浴自体は心身をリラックスさせるので、正しく入れば高血圧の予防・改善にも有効。しっかり対策してトラブルを防ぎましょう。

 

安全・安心に入浴するための準備

寒い冬は、一刻も早く冷えた体を熱い湯船で温めたいもの。でも、安全・安心のお風呂タイムを楽しむためには、いくつかの事前の準備が大切です。さらに、高齢者や心臓に持病をもっている人は、万一のときに手遅れにならないよう、誰かに近くにいてもらえたらベスト。入浴前には水をコップ1杯程度飲むのを忘れずに。

高齢者・高血圧の方は血圧変動に注意! 冬の入浴前に準備しておくことを医師が解説

脱衣所、浴室内の温度を上げる

暖かい居室から浴室に行くときだけでなく、浴室から出て服を着るときの温度差にも要注意。脱衣所と浴室は、入浴前から着替えが終わるまで暖かくしておきましょう。

 

水分補給をしっかり

体が濡れていると気づきにくいのですが、通常、1回の入浴でなんと約800mLも汗をかくそうです。入浴前と入浴後、できれば入浴中にもしっかり水を飲みましょう。

 

お湯は38℃前後に

42℃以上のお湯につかると、血圧や心拍数が上昇します。湯船の温度は38℃前後に。ただし、冬はお湯が冷めやすいので、追い炊きしたりお湯を足すなど冷めない工夫を。

 

食後や飲酒直後は避ける

食事やお酒を飲んだ直後は、血圧が変動しやすくなります。しかも、酔った状態での入浴は非常に危険です。1時間ほど待って、血圧や意識の状態が落ち着いてから入浴を。

 

帰宅直後に入らない

外出から帰った直後は、冬でも心拍数が上がり血圧が高くなっています。すぐに入浴すると血圧が乱高下して失神などの危険もあるので、少し休んでから入りましょう。

 

浴室ではゆっくり行動

浴室に入るやいきなりザブンと湯船に入ったり、湯船から勢いよく出たりすると血圧が乱高下します。転倒の危険もありますので、浴室ではゆっくりと行動しましょう。

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こんな人は血圧の乱高下に注意!

*熱いお湯や長湯が好き
*入浴後、冷水を浴びる
*いきなり頭からかけ湯をする
*体調が悪くても入る
*汗がひく前に下着をつける

健康にいいはずのお風呂も、入り方によっては逆に体に悪い影響をおよぼすことがあります。高血圧の場合は、体を急激な温度差にさらすことが何より危険。汗をかきながら熱いお湯につかったり、湯船から出て水をかぶったりするのは爽快かもしれませんが、血圧の観点からはNGです。汗がひく前に下着をつけるのも、濡れた下着が体の熱を奪うと血管が収縮するし、風邪をひきやすくなります。

 

高齢者は温度変化に鈍感!?

高齢者・高血圧の方は血圧変動に注意! 冬の入浴前に準備しておくことを医師が解説

皮膚の感度に関するある研究によると、50歳以下では0.5℃の温度差がわかるのに対し、65歳以上は最大5℃の差がないと違いがわからなかったそうです。高齢者が熱いお風呂でやけどする事故が多いのは、こうした皮膚感度の衰えによるもの。安全のためには温度計を使うなどの工夫が必要です。

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教えてくれたのは……

板倉弘重(いたくら・ひろしげ)先生

【Profile】
医学博士。芝浦スリーワンクリニック名誉院長、品川イーストワンメディカルクリニック院長。東京大学医学部卒業。同大学第三内科講師、国立健康・栄養研究所臨床栄養研究部部長を経て、現職。赤ワインなどに含まれるポリフェノールの抗酸化作用を世界で最初に発見。著書、監修書は『ズボラでも脱糖尿病 血糖値 上がらないのはどっち?』(アスコム)、『日常生活のちょっとした工夫で血圧、血糖値は下がる!』(アントレックス)、『大丈夫! 何とかなります 血糖値は下げられる』(主婦の友社)、『ズボラでも血圧は下げられる!』(宝島社)など多数。

(抜粋)

高齢者・高血圧の方は血圧変動に注意! 冬の入浴前に準備しておくことを医師が解説
TJ MOOK『医者もやっている 血圧の下げ方』 監修:板倉弘重

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編集・ライティング:藤田都美子、宇津井恵子
イラスト:藤井昌子

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WEB編集:FASHION BOX、株式会社エクスライト

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