人から何かをしてもらったときや褒められたとき、口にすることといえばお礼の言葉。それぞれのシーンにあった、正しく、美しいお礼の仕方を身につけておきましょう。こんな言葉で感謝を伝えると、さらに褒められてしまうかも!
このコンテンツの監修者は……
【Profile】
山口謠司(やまぐち・ようじ)さん
1963年、長崎県生まれ。大東文化大学文学部准教授。博士(中国学)。テレビやラジオの出演も多く、NHK文化センター、朝日カルチャーセンター、中日文化センターなどでも定期的に講演や講座を開いている。『日本語を作った男 上田万年とその時代』(集英社インターナショナル)で第29回和辻哲郎文化賞受賞。『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』(ワニブックス)、『心とカラダを整える おとなのための1分音読』(自由国民社)など、著書多数。
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感謝の気持ちを素直に伝えるとき
×:やりがちな言葉遣い
「ありがとうございます」
「感謝します」
「感謝の意を表します」
○:美人の言葉遣い
「ご親切(ご厚情〈こうじょう〉)に感謝いたします」
「深謝いたします」
「多謝(たしゃ)いたします」
「謝恩(しゃおん)いたします」
さらにステップアップ!
「ご厚誼(こうぎ)を賜り、感謝申し上げます」と言えば、さらに丁寧に。「厚誼」の「誼」は神に捧げる丁寧な祈りの言葉を表す。厚情よりも敬った表現になる。
「感謝」とは親切に感激して言葉を述べること
「謝」という漢字は、もともと「辞去する」「別れを告げて去る」という意味をもつ漢字です。「感謝」も、「感激して言葉を述べる」という意味があります。つまり、相手からありがたく感じることをしてもらい、それに感激した気持ちを伝えるのが「感謝」なのです。
そう考えると、「ありがとうございます」「感謝します」という言葉では少々そっけなく、感謝の気持ちがしっかり伝わらないように思います。
感謝を表す言い回しはいくつかありますから、状況によって遣い分け、相手の心に届く感謝の言葉を贈るとよいでしょう。
たとえば、「ご厚情に感謝します」という言い回しは、「厚」は土が分厚く重なっている崖の状態を、「情」は美しい心を表しています。地層が積み重なるような厚い親切を受けたときに、その厚意への心からのお礼として遣いたい言葉です。
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シーン別に「謝」のつく言い回しを遣い分ける
ひとつのことで深く親切を受けたときには、「深謝いたします」という感謝の言い回しがあります。「深謝」は、謝罪のときに「深く謝る」という意味でも遣いますが、「心から深く感謝する」という意味もあるのです。
一方で、あれもこれもと多方面にわたって助けてもらったときには、「多謝いたします」という言い回しが最適でしょう。
恩を感じる行いを受けたときには、「謝恩いたします」がふさわしいと思います。似たような言い回しに「謝意を表します」がありますが、こちらは何か表彰してもらったり、昇進させてもらったりしたときなどに活用できます。
また、「畏(おそ)れ入ります」も普段から遣いやすい言葉です。ありがたさに身がすくむ様子を表しています。「ありがとうございます」と言うよりも、謙虚で慎(つつ)ましやかな印象を残せる言い回しです。
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目上の人から褒められたとき
×:やりがちな言葉遣い
「いえ、そんなことありません」
「もったいないお言葉です」
○:美人の言葉遣い
「身に余るお言葉です」
「光栄に存じます」
ワンポイントアドバイス
仕事を褒められたときには、「〇〇さんのご指導のおかげです」という言い回しで相手を立てることもできる。「おかげ」には、神仏のご加護の意味がある。
否定はNG。相手を立てながらお礼を述べる
謙虚な国民性が関係しているのか、日本人は褒められるのが苦手という人が多いように思います。
しかし、せっかく頂戴(ちょうだい)した褒め言葉に対して「そんなことありません」と否定しては、相手も褒め甲斐(がい)がありません。かといって素直に「ありがとうございます」とお礼を述べるのはおこがましいような気がする人も多いでしょう。
こういうときには、「身に余るお言葉です」や「光栄に存じます」という言い回しを遣うと、控えめながらも素直な印象を与えます。
どちらも「相手から褒められたことを名誉に思う」という意味合いの言い回しなので、相手を立てながら、褒められたことへの感謝の意を表すことができます。ふたつを合わせて「身に余る光栄です」と言ってもよいでしょう。
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お世話になったお礼を言うとき
×:やりがちな言葉遣い
「こんなにしていただいて、すみません」
○:美人の言葉遣い
「お骨折りいただき、ありがとうございます」
「ご尽力(じんりょく)いただき、心よりお礼申し上げます」
さらにステップアップ!
多大な尽力を受けたときは「ご奮励(ふんれい)いただきまして、心よりお礼申し上げます」という言い回しがお勧め。奮闘し励ましてくれたことへの感謝の言葉。
自分のために苦労してくれた相手を気遣う
「すみません」という言葉をお礼の場面で用いる人がいますが、お詫びのときと同様に、これは誤った遣い方です。「すみません」では、お礼を述べたことにはならないのです。
部下や同僚に対してなら「ありがとう」、目上の人に対してなら「心よりお礼申し上げます」など、感謝の気持ちが明確に伝わる言い回しを選びましょう。
また、お世話になったことを表すには「お骨折り」や「ご尽力」という言葉を遣うとよいでしょう。「骨折り」とは「時間やエネルギーを費やして、苦労して働くこと」を言います。「尽力」も、「力を尽くして働くこと」です。
相手が自分のために多大な時間や労力を割いてくれたことにより助けられ、深く感謝しているという気持ちを表明できます。
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(抜粋)
書籍『美人は上品な言葉遣いでできている オトナ女子のための「語彙力」練習帳』
著者:山口謠司
イラスト/chieko
構成・編集/小西眞由美 西垣一葉(春燈社)
WEB編集/FASHION BOX
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