どんな話し方をするかで、周囲の人に与える印象が変わります。そこで今回は、仕事中はもちろんプライベートでも使える、相手を気遣う言葉をご紹介します。
教えてくれたのはこの方
山口謠司(やまぐち・ようじ)さん
1963年、長崎県生まれ。大東文化大学文学部准教授。博士(中国学)。テレビやラジオの出演も多く、NHK文化センター、朝日カルチャーセンター、中日文化センターなどでも定期的に講演や講座を開いている。『日本語を作った男 上田万年とその時代』(集英社インターナショナル)で第29回和辻哲郎文化賞受賞。『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』(ワニブックス)、『心とカラダを整える おとなのための1分音読』(自由国民社)など、著書多数。
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相手の行動に感動したとき
×:やりがちな言葉遣い
「いつも遅くまで頑張っていたからですね。感動しました」
「あなたのようにはできません」
○:美人の言葉遣い
「その努力には頭が下がります」
「努力するお姿にいたく感動しました」
「感服(かんぷく)いたします」
さらにステップアップ!
感動や共感を与えられたという意味で「心の琴線(きんせん)に触れました」もランクの高い表現。繊細な音色を出す琴の糸に触れるようだという気持ちを表す。
ありふれた言葉を品位のある表現に言い換える
「感動しました」「すごいですね」といった表現は、相手が友人であれば問題ないかと思いますが、あまり知性は感じられません。何に対して心を動かされたかも含め、品位ある言い方ができればよいと思います。
「頭が下がる」という表現には、「感服」「敬服」という意味合いが含まれ、その人の行動が尊敬に値するという、称賛をしていることになります。「あなたの努力には、本当に頭が下がる思いです」と言ってもよいでしょう。
もう少し畏(かしこ)まった言い方にしたいときは、「感服いたしました」「敬服いたします」と、そのまま遣ってもかまいません。
また、「すごく」という表現を「いたく」と言い換えるだけで、ずいぶん印象が変わります。漢字では「甚く」と書き、程度のはなはだしいさまを表す言葉で、「非常に」「ひどく」という意味です。
そのときだけの感動ではなく、余韻がある感動を表現
「感動」という言葉は「心に響きました」「心を動かされました」「心打たれました」というように、自分の心に及ぼしたプラスの影響を表現してもよいと思います。
また「感動」はそのときにワッと感じるような、「そんなことまでやったなんて、びっくりしちゃったわ」というような、ショートタイムの感情を表す言葉です。
それに対してその日一日中、心から離れない、翌日になってもまだ心の中で波打っている、というような感情は「心を揺さぶられました」と表現するのがふさわしいでしょう。
「揺」という漢字のつくりは「遥」や「謡」にも遣われています。これには長く震えている、という意味があるのです。映画を観たり、コンサートに行ったりして、受けた感動の余韻がずっと心にあるという経験は誰にでもあると思います。そんなロングタイムの感動を表す表現です。
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悩んでいる人に言葉をかけたいとき
×:やりがちな言葉遣い
「昔のことを蒸し返したって仕方ないよ」
○:美人の言葉遣い
「昔のことを蒸し返したところで、詮方(せんかた)ないですね」
さらにステップアップ!
「多岐亡羊(たきぼうよう)」は、枝葉末節(しようまっせつ)にとらわれて本質を見失うこと。「多岐亡羊ですから、これ以上考えても詮方ないことですよ」という遣い方をする。
慰めの言葉はストレートに言わない
悩んだり、落ち込んでいる人に、「いつまでも過ぎたことを蒸し返しても仕方ないでしょ」とストレートな言い方をすると、「あなたには私の気持ちがわからない」と、反感を買ってしまうかもしれません。
「悩むのは仕方ないけれど、もう十分に苦しんだのだから、とらわれないほうがいのでは」というニュアンスで慰めるには、「詮方ない」という言葉を遣ってみてはいかがでしょうか。仕方ないと同じで「なすべき方法がない」という意味ですが、言葉のイメージは柔らかくなるのではないでしょうか。
また、少し難しい表現ですが「多岐亡羊」という言葉もあります。道がいろいろな方向に分かれているところで羊が逃げてしまうことです。探しに行っても見つからない、だから深く考えないほうがいいですよ、という慰めになります。
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相手の体調を聞くとき
×:やりがちな言葉遣い
「調子はどうですか」
「具合はいかがですか」
○:美人の言葉遣い
「お加減(かげん)いかがですか」
さらにステップアップ!
「お加減いかがですか」と問われたら、「おかげさまですっかりよくなりました」「おかげさまで快方に向かっています」など「おかげさまで」を遣うとよい。
体調を崩した人を気遣う女性らしい言い方
体調を崩して会社を休んだり、入院している人、もしくは退院間もない人を気遣ってかける言葉です。
「お加減」は、相手を敬ってその健康状態を問う言葉なので、こういった場合に遣う言葉として、ふさわしいでしょう。
また、こうしたやりとりでは、「くれぐれもお大事(だいじ)になさってください」「ご無理なさらずにお過ごしください」など、相手の体をいたわる気持ちも伝えます。「大事」は大切にすること、用心することという意味なので、「お大事に」は相手の健康を気遣う気持ちを表現する場合に用いられます。「お体大切にしてください」という言い方でもよいでしょう。「ご無理なさらず」は、病気ではなくても、忙しく働いている人へのいたわりの言葉としても遣うことができます。
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(抜粋)
書籍『美人は上品な言葉遣いでできている オトナ女子のための「語彙力」練習帳』
著者:山口謠司
イラスト/chieko
構成・編集/小西眞由美 西垣一葉(春燈社)
WEB編集/FASHION BOX
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