(2020年3月4日 更新)
集中力がない、ボーッとすることがある、うつな気分になる……そんな症状がある方は、もしかしたら低血糖症かもしれません。精神科医の藤川先生は、低血糖がもたらす悪影響に、警鐘を鳴らします。低血糖にならないために、今すぐやめるべき食事を藤川先生が教えてくださいました。
≪目次≫
このコンテンツの監修者は……
藤川徳美(ふじかわ・とくみ)先生
【Profile】
1960年、広島県生まれ。医学博士。1984年、広島大学医学部卒業。広島大学医学部附属病院(現・広島大学病院)精神神経科、県立広島病院精神神経科、国立病院機構賀茂精神医療センターなどに勤務。
うつ病の薬理・画像研究や、MRIを用いた老年期うつ病研究を行い、老年発症のうつ病には微小脳梗塞が多いことを世界に先駆けて発見する。2008年に「ふじかわ心療内科クリニック」(広島県廿日市市)を開院。気分障害、不安障害、睡眠障害、ストレス性疾患、認知症などに対して多面的な治療法を採用しながら治療にあたっている。著書に『うつ消しごはん』(方丈社)、『薬に頼らずうつを治す方法』(アチーブメント出版)、監修では『食事でよくなる! 子供の発達障害』(マキノ出版)がある。
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血糖値の乱高下によりパニック障害やうつ病に?今すぐやめたいNG食べ物、精製糖質
何気なく食べた糖質が体への大きな負担に
精製糖質とは、白米や小麦粉、砂糖(白糖)などのこと。これらは食べると血糖値が急上昇し、糖の処理をするために多量のインスリンが分泌されます。すると今度は血糖値ががくんと下がり、その反動で低血糖に至ることがあります。
本来、糖は体にとって大事なエネルギー源になるため、体は低血糖状態を回避しようとして血糖値の回復につながるグルカゴン、アドレナリン、コルチゾールなどのストレスホルモンが分泌されます。これらのホルモンをつくるには、たんぱく質やビタミンB群に加え、その働きを支える亜鉛やマグネシウムなどのミネラルが使われます。またコルチゾールの合成にはそのほかに脂肪酸や食事由来のコレステロールが必要とされるのです。精製糖質の過剰摂取は体に負担を与え、せっかくの機能を無駄に浪費するようなもの。糖質はそれだけ爆発的なエネルギーを体にもたらすことができるといえますが、その代償はきわめて大きいのです。そのことに無自覚な生活が続いてビタミンB群やミネラルが不足すると、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質もつくりにくくなり、食生活が原因でうつやパニック障害のきっかけにもなりかねません。
また、血糖値の急上昇は「血糖値スパイク」と呼ばれ、繰り返すと血管を傷つけ、生活習慣病やさまざまな病気の元凶になりかねないことも指摘されています。心と体に負担をかけ、悪循環のもとになる食習慣は早急に改めましょう。
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糖質の賢い食べ方
糖質制限・低糖質が基本
食べるなら未精製のものをごく少量で
<NG! 精製された糖質>
血糖値を急上昇させやすい、もっとも避けるべき糖質
白米、パンなどの小麦粉製品、砂糖などの精製された糖質は血糖値の急上昇をもたらすため、なるべく制限したいものです。まずは従来の半分から4分の1に減らすことを目指して。
・精製された穀物
白い炭水化物の主食は今すぐやめる!
白米や小麦製品は、精製によって穀物に含まれていたせっかくの栄養分をそぎ落としてしまった“むきだしの糖質”。砂糖よりは穏やかではあるものの、でんぷんも糖質の一種です。
・砂糖
体内に入った瞬間に急激に血糖値を上昇させる
白い砂糖はほとんどがショ糖で、まさに糖の塊です。摂取するとストレートに血糖値が上がるもとになります。どうしても砂糖が必要な場合には、少量の黒砂糖を使って。
☆お酒にも糖質の多いものがある
糖質オフをうたったビールなどもありますが、一般に醸造酒に分類される日本酒やビールは糖質が多く、ワインは比較的少なめ、一方、蒸留酒とされる焼酎やウイスキーはほぼゼロに。
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<少量ならOK! 未精製の糖質>
未精製のものを中心にごく少量食べる
玄米なら籾殻、小麦なら胚芽の部分は精製によって失われますが、ここにこそ豊富な栄養が含まれていました。糖質を摂るなら未精製のものを選び、少量を摂るようにしましょう。
☆未精製穀物を少量なら血糖値も上がりにくい
玄米や雑穀、全粒粉小麦やトウモロコシは、精製したものに比べて血糖値の上昇も穏やかなものになります。
☆食べる順番で糖質被害を抑える
どういう順番で食べるかによって血糖値の急上昇を避けることができます。たんぱく質の多いおかず類から食べ始め、野菜や汁物と進み、ご飯などの糖質はなるべく最後にすることです。
☆甘さは自然のものを少量、いも類も食べてOK
砂糖よりは、はちみつなどの自然な甘さを使うとよいですが、糖にかわりはないため量は控えて。また、いも類も未精製の糖質ですのでOKですが、食べすぎには注意しましょう。
はちみつに含まれるのはブドウ糖と果糖で、吸収されやすく砂糖ほどの悪影響はないものの、摂りすぎには注意を。
ビタミンやミネラルなどの栄養もあり、非精製なので摂っても問題ありませんが、でんぷんも多く含むため、摂る量には気をつけて。
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糖質制限したらダメな人はいる?
糖質制限を成功させるには注意が必要な人もいます。肝臓が健康であることはもちろんですが、エネルギーを生み出す回路が正しく働くためには鉄やたんぱく質が足りていることが欠かせません。またエネルギー生成を助けるビタミンB群や亜鉛、マグネシウムなどのミネラルも重要。糖質を制限するにはこれらの栄養をしっかりと摂っておくことが前提になるのです。
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(抜粋)
TJ MOOK『精神科医が考えた! うつも消える! 心を強くする食事術』
監修/藤川徳美
表紙撮影/高杉 純
編集・ライティング/藤田都美子
ライティング/杉浦美佐緒、宇津井恵子
イラスト/藤井昌子
WEB編集/FASHION BOX
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