誰でもストレスがたまると、「発散したい!」と思うもの。ですが、やみくもなストレス発散は心身にダメージを与えるだけかもしれません!
教えてくれたのは……
藤川徳美(ふじかわ・とくみ)先生
1960年、広島県生まれ。医学博士。1984年、広島大学医学部卒業。広島大学医学部附属病院(現・広島大学病院)精神神経科、県立広島病院精神神経科、国立病院機構賀茂精神医療センターなどに勤務。
うつ病の薬理・画像研究や、MRIを用いた老年期うつ病研究を行い、老年発症のうつ病には微小脳梗塞が多いことを世界に先駆けて発見する。2008年に「ふじかわ心療内科クリニック」(広島県廿日市市)を開院。気分障害、不安障害、睡眠障害、ストレス性疾患、認知症などに対して多面的な治療法を採用しながら治療にあたっている。著書に『うつ消しごはん』(方丈社)、『薬に頼らずうつを治す方法』(アチーブメント出版)、監修では『食事でよくなる! 子供の発達障害』(マキノ出版)がある。
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嫌なことがあったとき、正しくストレスを逃がせていますか?
“ストレス解消の罠”に注意!
ストレスをなくすのではなく、逃がす方法を知ることが大事
ストレスと一言でいってもその種類はさまざま。現代では人間関係におけるトラブルや不満や、人生がうまくいかないことなどでストレスを抱えるようになり、それが心身を蝕む要因ともなっています。
しかし、人間が生きていくうえでまったくストレスをなくすことは不可能。ですから、ストレスをゼロにするのではなく、上手にストレスを逃すことと、ストレスに強い心身をつくることが肝心です。そこで重要な働きをするのが栄養。たんぱく質や鉄でしっかり体が満たされている状態なら多少の嫌なことにもくじけない強さを持つことができます。逆に、ぜひ気をつけたいのがストレス解消の名目で体に悪影響を及ぼすもの。お酒や甘いものは、一時的に気分がよくなるかもしれませんが、中毒性を引き起こしたり、体を弱らせたりするというデメリットがあります。こういった悪いストレス解消に逃げないように、しっかりと栄養面から心身づくりに取り組むことが大切なのです。
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間違ったストレス解消法1:お酒
お酒で得られる快感は慣れるとお酒の量が増えることに!
アルコールには、少量なら食欲を増進させたり、気持ちを明るくさせたり、リラックスさせてくれたりする効果があります。これは快楽を司る脳内ホルモンであるドーパミンの活動を抑制するGABA神経の働きが、アルコールによって弱まり、ドーパミンがたくさん放出されるため。しかし、ストレス解消だといって、お酒を飲み続けると、このGABA神経にも耐性ができて、少量では制御力を弱めることができません。そうすると、「もっと飲まないと」という欲求が強くなり、お酒の量が増え、肝臓に負担をかけるなど体に悪影響を与えることになってしまいます。
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間違ったストレス解消法2:甘いもの
血糖値の急上昇で元気な気分になったあとは急下降が心配
「疲れたときは甘いものを食べると元気が出る!」というのは、とくに女性に多いかもしれませんね。これは血糖値の影響によるもの。砂糖の入ったお菓子や飲み物などを飲むと、血糖値が一気に上昇するために一時的に元気になったような気分になれます。ですが、これは一時的なこと。今度は、急上昇した血糖値が急降下し、ひどい場合は低血糖症といってフラフラしたり、ボーッとしたりといった状態に陥ることも。また、糖質摂取が多いとビタミンやミネラルが不足しやすくなるので、質的栄養失調になりやすく、そうすると心が不安定になりやすくなります。
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間違ったストレス解消法3:カフェイン
中毒になると脳や心臓に悪影響を与える
コーヒーの香りにはリラックス効果があるとともに、覚醒作用があるので、仕事が疲れたからひと息ついてまた集中したいときなどに飲むことが多いでしょう。実際、コーヒーなどの嗜好品は、現代の複雑で忙しい社会生活のなかで、体は休んでいるけど頭のなかではいつも何かに不安を感じていたり悩んでいたりという緊張状態から、解き放ってくれる力があります。ですが、コーヒーに含まれるカフェインは、摂りすぎると脳に悪影響を及ぼし、余計に疲労を感じさせたり、うつっぽい気分にしてしまったりする場合が。カフェインはコーヒーだけではなく、緑茶やチョコレートなどにも含まれています。常用せずに、時々楽しむ程度にしましょう。
一時的な発散のための嗜好品は、中毒性が高く、体にとっては害になるんです!
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(抜粋)
TJ MOOK『精神科医が考えた! うつも消える! 心を強くする食事術』
監修/藤川徳美
表紙撮影/高杉 純
編集・ライティング/藤田都美子
ライティング/杉浦美佐緒、宇津井恵子
イラスト/藤井昌子
WEB編集/FASHION BOX
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